FAOの報告では2050年までには食糧危機が来るとされている。
世界情勢が緊迫したり、地球温暖化が進むことによってそのペースは早まる可能性が高い。
ついに日本政府も食糧危機に関する法案を来年提出することとなった。
一農家として、注視していきたい。
農林水産省 関連URL (PDFはこちら)
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/anpo/attach/pdf/kentoukai-70.pdf
農林水産省 食糧危機の対策まとめる
食料不足時の対策報告書が農林水産省でまとまる
ウクライナへのロシアによる侵攻や気候変動などの課題によって食料の安全保障が問題視される中、農林水産省の有識者会議は、政府が食料不足時に事業者に対し、輸入の拡大や増産、さらにカロリーの高い作物への生産転換などを行うよう、法的な要請や計画作成の指示を可能にするべきだとする報告書をまとめました。
食料不足時の対応策を段階的にまとめる
食料供給に関しては、人口増加や気候変動だけでなく、ロシアによるウクライナ侵攻や新型コロナウイルスの感染拡大などがあり、世界的に不安定になる可能性が指摘されています。
この状況の中、農林水産省の有識者会議は6日、国内で食料不足が起きた場合に必要な対策を報告書にまとめました。
報告書によると、コメや小麦、大豆、卵、肉などの商品について、政府が平時からその生産や輸入、在庫状況に関する情報収集を行うことが肝要だと強調しています。
もし上記の商品の供給量が平時よりも20%以上減少した場合、政府は農家や企業に対し、輸入の拡大や増産、出荷先の調整などを求めるべきだと指摘しています。
さらに、最低限必要なカロリーの確保が難しくなる場合、農家に対し、サツマイモなどカロリーが豊富な作物への生産転換を促す必要があるとしています。
報告書は、これらの対策を支える法律の整備が不可欠であり、農林水産省は具体的な計画を進め、来年の通常国会に関連法案を提出する方針です。
報告書の詳細
今回まとめられた報告書では、コメ、小麦、大豆、菜種、パーム油、卵、肉、乳製品などの「畜産物」や、砂糖、肥料、家畜の飼料、種子などの「生産資材」を対象品目とし、4つの段階に分けて対応策をまとめています。
最初に、食料不足が発生する前の通常の段階から、政府は民間の在庫状況を把握し、事業者の機密情報を尊重しつつ、流通プロセスを含めて十分に把握する必要があると指摘しています。
次に、大規模な食料不足の兆候が見られた場合、政府は内閣総理大臣を先頭に立てて対策本部を設立し、まずは農家や企業に自主的な取り組みを促進し、生産や輸入の拡大、出荷の調整などを要請すべきだとしています。
さらに供給量が平時より20%以上減少した場合、食生活や事業活動に大きな影響を及ぼすとし、追加の対策を求めています。
この目安となるのが、いわゆる「平成の米騒動」です。1993年に冷害が原因でコメの供給量が前年比24%減少し、価格が上昇、買いだめが発生した事例です。
この段階では、対策本部が「事態の宣言」を行い、要請による確保が不可能な場合は、農家や企業に対し、生産や輸入の拡大、出荷調整に関する計画を作成するよう指示すべきだとしています。
さらに、必要な量が確保できない場合は、計画変更の指示を行うことも検討すべきだと述べました。
極めて深刻な段階として、1人当たり1日1900キロカロリーの摂取が困難な状況が考えられます。この場合、農家に対して、カロリーを重視した品目への生産転換を促し、それでも確保できない場合は、生産転換に関する計画を作成するよう指示すべきだとしています。
報告書では、「要請」には罰則を設けるべきでないとした一方で、「計画作成の指示」に違反した場合は罰則が妥当であるとしています。計画を実施しなかったり、計画変更の指示に従わなかった場合は、その事実を公表することが適切だとしています。
人口増加、気候変動、戦争・・・ 安全保障の見直し
今回の報告書のまとめには、食料安全保障への関心の高まりが背景にあります。
世界的な人口増加や新興国の経済成長に伴い、穀物の需要や肉類、植物油などの消費が増え続けています。
将来の見通しでは、2050年には現在より18億人多い97億人の人口が見込まれ、それに伴う食料需要の増加が予想されています。
一方で、異常気象による干ばつなどのリスクや家畜の伝染病による畜産物供給への懸念も高まっています。
日本では、鳥インフルエンザによるニワトリの処分や卵価格の急上昇などの事例もありました。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の混乱も、食料の確保への懸念を強めました。
ウクライナ侵攻や国際的な物流の混乱も、小麦価格の高騰や肥料価格の上昇などを引き起こしました。中国との食料の争奪戦や穀物需要のバイオ燃料への転用も将来の需給不安定化の一因です。
農林水産省の報告書では、日本が特定の国や地域に依存していることから、世界的な需給の不安定化が大きな影響を与える可能性があると指摘しています。
海外の法律
世界的な食料安全保障への懸念が高まる中、海外では、食料不足に備えた法律を既に整備している国が存在しています。
農林水産省によると、スイスは食料不足が続く期間に応じて、政府が取るべき対策を定めています。例えば、3か月以内の短期間では備蓄の放出や輸入促進などを行い、1年を超える長期的な不足の場合は生産転換や配給などを実施することを規定しています。
実際、コロナ禍では一時的な需給不足に対処するために、バターや卵の輸入促進などの措置がとられました。
同様に、ドイツも食料の安定供給を確保するため、食品メーカーに生産能力や保管能力などの情報提供を義務づけており、食料危機時には政府が生産や流通段階で介入する規定があります。
中国でも食料安全保障に関連する法律の制定が進んでおり、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、対策の見直しに乗り出す国が増えていると報告されています。
小さな一農家として、今思うこと。
以上、農業の生産基板の脆弱化と安全保障の危機が深まり、その打開が今や国民的課題となった。
いろいろと思うことはあるのだが、
これらの現象を自分ごととしてとらまえるためには、今一度日本の農業の歴史について詳しく知る必要があるように思う。
1850年以降の日本の農業の推移を、後日まとめてみようと思う。
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